2014年7月15日火曜日

成果主義に落とし穴 ドラッカーが認める評価法は〜気になった記事〜

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1300Z_T10C14A6000000/

日本での成果主義は失敗したと言われて久しい。
成果主義の導入が従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしたことを指摘している。その原因は、勤務の長時間化、評価への不満、短期的成果への要求増大、協力関係の希薄化、ハラスメントの増長などが挙げられる。その後、制度を見直している会社も多いが、それでもなお社員のモチベーションやメンタルヘルスの向上につながらないケースが多いのはなぜだろうか

目標管理はドラッカーが提唱したとされているが、誤解もある。ドラッカーが提唱したのは「Management by Objectives and Self-Control」、つまり「自分自身による」目標管理。現在多くの組織で用いられているのは「上司による部下の」目標管理であり、識者のなかにはドラッカーの意図が正しく反映されていないとする意見も多いようだ。

他者による目標管理においては、その成果を定量化しなければならない。ドラッカーは、こんな言葉を残している。「社会的事象の中で真に重要なことは定量化になじまない」
「測定と定量化に成功するほど、それら定量化したものに注目してしまう。したがって、よく管理されていると見えれば見えるほど、それだけ管理していない危険がある」

組織が成果を上げるうえで必要な事象を、すべて定量化可能な評価項目に織り込むことは不可能なだけではなく、評価者の主観による偏りも生む。制度としての目標管理はそうした矛盾をはらむことを前提として、上司と部下は正しく評価し、評価される努力を重ねていかなくてはならないだろう。
目標設定や評価とそれを伝える手段としての定量化を行うと、「定量化できないもの」の重要性を知りながらも、ついそれを忘れがちである。目が向きやすい部分だけで判断していると、人間としての交流が失われ、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすこともある。「定量化できないもの」があることをいかに上司は意識し、部下の評価に臨めばよいだろうか。
各項目の評定値の足し算ではなく、その個人全体で見て「組織に対してどんな貢献をしているか」を考えてみる。すると、個人が上げる数値的な成果だけではない全体像が見えやすい。そこには、営業としての「売り上げ」やプロジェクトの「進捗度合い」だけではない何かが見えてくるはずだ。
目標管理において評価項目の数値に基いて評定した後は、定量化できないその人の特徴を挙げて本人に伝えてみよう。「優しい」「明るい」「真面目」「臨機応変」「ケチ」「せっかち」「小心者」…。ポジティブなものはそのままに、ネガティブなものはポジティブに言い換えて伝えよう。
自分の中にある見えにくい部分を「上司が見ていてくれた」と感じることは部下のやる気を大きく刺激する。また、見えにくいものを見ようとするならば「常々よく観察」しなければならないはずだ。それこそ上司としてあるべき姿だし、メンタルヘルス不調の早期発見にもつながる

 「管理手段は、測定可能な事象のみならず、測定不能な事象に対しても適用しなければならない」(『マネジメント エッセンシャル版』)というドラッカーの言葉をもう一度かみしめたい。

目標管理面談を、上司が部下に評価を伝えるだけではなく、部下の自己評価と突き合わせて、「その差はなぜか?」を話し合う機会にするとよい。最終的に上司の評価が覆ることが目的ではなく、上司、部下それぞれから見た違いをお互いが理解すれば、今後の目標設定や評価の調整に役立つ。なにより、部下が「なぜこの評価なのか?」との思いを残さずに済む。

 その話し合いの中では、お互いの価値観や仕事に対する取り組み方など評価項目に含まれないことも出てくるだろう。それが大切だ。数値による評価のフィードバックだけであれば、メールで十分である。評価面談を上司部下の信頼関係を構築する場とするために、一つの目標に対する見え方の違いを共有する話し合いをしよう。

 ビッグデータの活用によりこれまで見えなかったものを定量化する試みが始まった。これまで見えなかったものが見えるようになるからこそ、改めて見えないものに注目しなければならない。ドラッカーは次のようにその配慮の必要性を強調している。

 「定量化することはもとより、定義することさえ困難である。とはいえ、把握不能ということはない。いたって明白である。データ化できないというだけにすぎない。データ化できないものを考えなければならない。データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、組織を間違った方向へ導く」

〜ここまで〜

意識すること
・ 各項目の評定値の足し算ではなく、その個人全体で見て「組織に対してどんな貢献をしているか」を考えてみる。目標管理において評価項目の数値に基いて評定した後は、定量化できないその人の特徴を挙げて本人に伝えてみよう。「優しい」「明るい」「真面目」「臨機応変」「ケチ」「せっかち」「小心者」…。ポジティブなものはそのままに、ネガティブなものはポジティブに言い換えて伝える!
・ 目標管理面談を、上司が部下に評価を伝えるだけではなく、部下の自己評価と突き合わせて、「その差はなぜか?」を話し合う機会にする

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