2014年8月13日水曜日

離職率25%超で困った! サイボウズを変えたワークスタイル変革〜本日の気になった記事〜

http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1408/12/news010.html

サイボウズといえば、国内外に多くの利用者がいる国産グループウエアメーカーだ。創業3年目の2000年ごろには約30人だった従業員も2014年3月末時点で489人に増え、その4割が女性だ。

 今や3.8%という低い離職率で知られる同社だが、かつては25%超という高い離職率に悩まされていた。なぜ今、サイボウズはここまで“人が定着する”会社になったのか――。同社社長室フェローの野水克也氏に、5年間で離職率を5分の1に減らしたワークスタイル変革のツボを聞いた。

サイボウズ人事制度の変遷

 同社のビジョンは、グループウエアの活用を通じて社内のチームワークを向上させること。そんな会社が、4人に1人が辞めていく状況に陥った理由は何だろうか?

 ここで野水氏が示したグラフからは、同社の離職率の変遷が人事制度の変遷とリンクしていることが分かる。従業員数が少なかった創業期(1~4期)は社員一人ひとりを個別に評価していたが、2000年に入って急激に人員が増加したため成果主義による人事制度を定めた。

同社が展開するグループウエアは、一般企業向けの「サイボウズ オフィス」と、大企業向けの「サイボウズ ガルーン」の2つに分けられる。事業部もそれぞれに分かれていたが、当時「ガルーン」はまったく売れない状況だった。野水氏は、「同じだけ仕事をしても成果主義ではガルーン事業部の社員がまったく評価されない。そのうち、事業部間で顧客を取り合うようになって社内がギスギスしてしまった」と振り返る。

 そこで6期からは社員の「評価への納得性」を検討し、上司による達成度評価と全事業部長による市場評価、そしてランダムに選ばれた5人の社員からの360度評価を組み合わせる形にした。

 ところが、これもまた社員に不評だった。「各方面からのフィードバックを計算して、『こんな数字がでたよ』と伝えても、本人にとっては何が良かったのか、悪かったのかがまったく分からない。かえって辞める人が増えてしまった」(野水氏)

 そこで同社がたどりついたのが、職種や性別にかかわらず従業員自身に働き方と評価方法を決めてもらう制度だ。仕事の充実を重視する「PS」と「PS2」、私生活を重視する「DS」という名前は、家庭用ゲーム機の名称から。遊びたいゲーム機を選ぶのと同じように、自分がやりたい働き方を選べるようにというネーミングだった。

ブラック企業になるか、それともホワイト企業になるか?

 2007年から導入した選択型人事制度は、それまで1つの目標に向かって全員が“昭和的”に働くスタイルをやめ、育児休業など多様化する働き方ができ、より長く働ける環境を作ることを目指した。現在、同社社員の7割が「PS」を選んでいる。

 この制度のおもしろいところは、「PS」と「DS」を1年ごとに切り替えられる点だ。「PS2」は勤務時間を自身で管理する裁量労働制によるワーク重視型、「PS」は月間残業時間40時間程度のワークライフバランス型(勤務実績を上司に報告する義務あり)、そして「DS」は残業なし、もしくは短時間勤務のライフ重視型だ。それぞれのライフステージに合わせて、柔軟な選択肢を提供している。

このほか、「子どもが小学校に就学するまで(最長6年間)」「何度でも(回数無制限)」取得できる育児休業制度も特徴的だ。家族の看護のための休暇も無制限で取得できる(有給休暇扱いは1年間で5日まで)。「社員の4割が女性だと、産休や育休はローテーションのようなもの。それを前提としないと会社が成り立たない」(野水氏)

 高度成長期型の人事モデルはすでに崩壊している。誰もが管理職にまで出世できるわけもなく、全員の給与を上げ続けることもできず、全員が24時間常に働き続けることも不可能だ。生産年齢人口は下降線をたどり、上司2人に部下1人の時代がやってくる。

 企業が生き残るためにはどうしたらいいのか。同じような役割を複数の社員に割り当て、競争させることによって成果を求める「ふるい落とし型」のブラック企業になるか。さまざまな個性をもった社員が集まり、共通の目標(ビジョン)を達成するためにチームを作り、役割を分担して協働する「どこにもない個性型」のホワイト企業になるか。サイボウズの人事制度は、後者に基づいている。

 「選択型人事制度を導入した目的は企業競争力の強化であり、それができる労働環境を実現する手段にすぎない。決して福利厚生ではないし従業員に甘い会社にしたいわけでもない」(野水氏)

近い未来、「介護」もローテーションになる

野水克也
サイボウズ 社長室フェロー 野水克也氏
 サイボウズがテレワーク(在宅勤務)を導入したのは2010年。その目的は、個別の事情によりオフィスで勤務できない人への就業機会の提供、オフィス以外の場所で働くことによる個人の業務効率向上、出社はできるが在宅で働きたい人(DSを選択した人)のための支援だった。その半年後に発生した東日本大震災を経験したことで、いまでは「危機管理」も目的の1つに加わっている。

 「これからは親の介護のために離職せざるを得ない社員が出てくる。そのためにもテレワークができる環境を準備している。例えば九州出身の社員が介護のために故郷に帰ると申し出てきたら、辞めのではなく、介護しながらも働ける『1人九州支店』を作ってほしい。育児休暇と同様に、介護も“ローテーション”になるだろう」(野水氏)

 同社では、対象家族1人につき、最長6年間の介護休業が取得できる。その回数も無制限で、対象者の介護状態も問わないそうだ。

 ところで、テレワークの導入はすんなり進んだのだろうか? 野水氏は「交代制で1人ずつ、部下だけでなく、上司も対象にして在宅勤務を試してみるべき。2周くらいすると、何が不便なのか、何が足りないのかが見えてくる。最初は『サボるんじゃないか』という不安もあったが、自分でやってみるとむしろサボれないことが分かる。部下が悪いわけではなく、自分のこれまでのマネジメントがいかにいい加減だったのかを痛感した」と笑った。

〜ここまで〜

女性の働き方として非常に参考になります。
特に、職種や性別にかかわらず従業員自身に働き方と評価方法を決めてもらう制度だ。仕事の充実を重視する「PS」と「PS2」、私生活を重視する「DS」制度は非常に参考になる。

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