2014年9月8日月曜日

採用面接で失敗続き…院長のどの行動がNG?〜気になった記事〜

以下に記した採用面接の流れを見てほしい。どこに問題があるだろうか。

(1)面接では、まず院長が経営理念を伝える。また、自院の取り組みや力を入れているところなどを丁寧に説明する

(2)一通り話し終えたところで、応募者に対して、「タバコは吸わないですよね」「うちはたまに残業がありますが、大丈夫ですか」「他職種の業務を手伝ってもらうときがありますが、よろしいですか」など、確認したいことを質問する

(3)人柄を把握するため、「人と接することは好きですか」と聞く

(4)「土曜勤務可能」などの勤務条件も確認した上で、院長が良い人材だと判断すれば、「では早速、いつから勤務してもらいましょうか」などと入職に向けた話を進める

クローズドクエスチョンの多用は×
 人気のある診療所にするためには、スタッフの協力が欠かせない。職員の採用面接の場面では、どんな院長も「能力の高い人材を選び出そう」と力が入るはずだ。

 だが、良い人材を見つけたと思っても、質問者のように「いざ働かせてみると、面接の印象と違う」と頭を抱える結果になることがある。

 「応募者の人柄をうまく見抜けない」と悩む診療所で多いのが、冒頭のような面接をしているケース。つまり、院長が話し過ぎているところだ。採用面接では、診療所の理念や方針を応募者と共有することも大切だが、それ以上に、「相手がどのような人か」を把握することを優先したい。

 そこで必要なのが、面接の場面で相手の考え方を問う質問を投げかけ、その話から見え隠れする人柄や対応力、コミュニケーションスキルなどを適宜つかむこと。それには、「はい」か「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンではなく、文章で答える必要があるオープンクエスチョンを活用するとよい。

 冒頭の例の(2)や(3)に出てくる質問は、すべてクローズドクエスチョンだ。

 「はい」と答えているだけで印象が良く見えるため、これでは人柄の把握は難しい。一方、面接の最初に「ご自分の長所・短所を含めて自己紹介してください」と質問すれば、応募者に自分の言葉で話させることが可能だ。明るくハキハキと回答できれば、通常のコミュニケーションは問題ないと判断できるし、突然の投げかけにおどおどした振る舞いになったり、話の内容が支離滅裂だとマイナス評価になる。

日常業務に関する対応力を見る
 応募者の協調性や対応力のレベルを知るためには、日常業務を想定した設問を示し、どう対応するか考え方を話してもらうとよい(表1)。その際、「応募者が院長の価値観とマッチするか」が分かるような質問内容にしたい。
表1◎採用面接で人柄を見抜くオープンクエスチョンの例
(*クリックすると拡大表示します)
 例えば、協調性を大切にする院長なら、「同僚の仕事に抜けがあったり、言ったことをよく忘れる場合、あなたならどういう行動を取りますか」と聞き、同僚を配慮する視点があるかどうかを見る。

 また、職員に高いレベルを求める院長なら、「上司などから厳しい注意を受けた際に、あなたはどのように受け止めるタイプですか」などと、ストレス耐性があるかどうかを確認する。抽象的な表現で回答してきた場合は、「具体的にはどういうことですか」「例えば、これまでそのような経験がありますか」などと掘り下げて聞いていく。

 これらの質問には正解がないため、応募者の回答に対し、院長が許容・共感できるかどうかで適否を判断する。

 可能であれば、面接は院長だけでなく、夫人や女性職員、コンサルタントなどを同席させる方がよい。一般的に、異性を評価する視点は甘くなると言われる。そのため、例えば男性の院長が女性を採用する際は、女性職員からの意見を聞くと異なる視点からも評価できる。

短時間で効率よく面接するために
 限られた時間の中で効果的な面接を行うには、質問をあらかじめ考えておくことが重要だ。

 まず、履歴書は必ず事前に送ってもらい、目を通しておく。志望動機や前職の離職理由、仕事に必要なスキルなどについて気になる箇所をチェックし、転職が多ければ、その理由をすべて確認する。面接で聞きにくい質問だったり、シフトの希望、喫煙の有無などクローズドクエスチョンで聞ける内容は、事前にアンケート用紙を渡し、書面で確認するのも一つの方法だ。

 面接の最後には、「何か質問はありませんか」と聞き、反応を見る。真っ先に有給休暇や残業について聞く人もいれば、「こちらの診療科は初めてなので、勉強しておくことがあれば教えてください」と前向きな質問をする人もいるだろう。この反応で、応募者が何を大切にして仕事をする人かを推測できる。

 院長の採用したい人物像に合った人材を見抜くためには、相手が話す時間を多く取ることが大切だ。面接する側は「自分が話し過ぎて、応募者の人となりを引き出せていないのではないか」と一度振り返った上で、採用面接に臨んでほしい。

【まとめ】
・採用面接をする側の話し過ぎに注意

 応募者の人柄を見抜くには、できるだけ相手に話をさせることが重要。クローズドクエスチョンではなく、オープンクエスチョンをできるだけ活用すべき

・シチュエーションを示して対応力を見る
 協調性や対応力のレベルを知るためには、業務の具体的な場面を設定し、どう対応するか考え方を応募者に話してもらう

・効率的に面接するには準備が大事
 面接前に履歴書に目を通したり、勤務面の希望などをシートに記入してもらうなどの事前準備は必須。面接では、人柄を見抜く質問に時間を割く
〜ここまで〜
面接で意識すること
・ オープンクエスチョンで質問する
・ 具体例を出して対応の仕方をみる



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