2016年10月19日水曜日

働き方 〜気になった記事〜


■13年前から「総活躍」

 正社員もパートもなく全員がフル活躍しなければ、銀行としての形を保てない危機。13年前、りそなは「総活躍」をいかに実現するかを迫られたわけだ。答えは「頑張りに報いるフェアな制度を確立してパートを主戦力に変える」(人材サービス部の九鬼至留グループリーダー)こと以外なかった。

 当時の細谷英二会長(故人)の号令の下でパートの処遇を大幅に引き上げ、2008年には同一労働同一賃金の考え方を取り入れた人事制度を実現した。難易度や職責に応じて職務グレードを14に分け、正社員からパートまで全員をその中に位置付けた。同グレードであれば時給ベースの給料は同じ。パートから正社員への登用制度も設けた。

 りそなの制度は、職能給と職務給を組み合わせた日本型の同一労働同一賃金と言える。担当者とスタッフ職は知識やスキルのレベルでグレードを決定するため、年齢を重ねれば一定レベルまでは上がりやすい面がある。一方、管理職以上になればポストの職務の難易度や職責によってグレードが決まる。


 りそなは16年4月、「スマート社員」という新たな正社員制度の運用を開始した。勤務時間もしくは業務範囲のどちらか一方を限定するもので、育児中や介護中の社員は誰でもスマート社員に転換できる。同一労働同一賃金の考え方を入れていたので、スムーズに新たな働き方を導入できた。

 これまで社員からパートになる場合は、一度退職してから再雇用する形になっていたが、今後は正社員という身分のまま働き方を限定できる。

 パートから正社員に応募する際のハードルも低くなった。いきなり勤務時間、業務範囲ともに無限定となることにちゅうちょする人もいたからだ。

 9月末時点でスマート社員は190人。社員からの転換がおよそ3分の1、残りはパートからの登用という。

 15年6月、りそなは公的資金を全て返済。無事に再生を果たした。

 厚生労働省が企業に対して調査したところ、非正規社員を使う理由のトップは「賃金の節約」だった。だが、人を「コスト」として扱う近視眼的な発想から抜け出しフェアに扱えば、個人の生産性は大きく高まる。それは、企業自体の生産性や競争力が高まることと同義なのだ。イケア、コストコ、りそなの事例はそれを示している。

■「資生堂ショック」の果実

 最適な労働時間のあり方とは何か。働き方改革を進める企業が増えるにつれて、大きなうねりが生まれ始めた。

 中部地区のある中小企業は2014年にノー残業デーを取り入れた。きっかけは、ある男性社員が社長に直訴したことだった。「妻の働き方が変わるので、息子の送り迎えをしたいんです」。

 妻は資生堂の美容部員。育児中の短時間勤務制度を利用していたため、遅番や土日勤務を事実上免除されていた。だが、同制度を巡っては繁忙な時間帯の勤務が若手やベテランに集中していたため、現場がぎくしゃくする弊害が生まれていた。

 資生堂は運用を見直し、月に1度は遅番や土日に勤務してもらうようにした。いわゆる「資生堂ショック」である。


 育児時間制度を利用していた美容部員1200人のうち、退職したのは約30人のみ。一方、育児中でもチーフに昇格する社員も出てきた。

 働き方改革には痛みが伴う局面もある。しかし、ほかの企業も同じ悩みを抱えており連係プレーは可能だ。まず道を開くことで、解決法が見えてくる。

気づいた点
・ スマート社員という考え方
・ 育児中もある程度負荷をかける(当番は月1回程度)

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