2015年11月12日木曜日

既得権益を産んではいけない!〜本日の気になった記事〜

豪華な社員食堂はいらない  (藤田晋氏の経営者ブログ)より


〜ここから〜
 少し前の話ですが、今年6月、サイバーエージェントで初の試みとなる「捨てる会議」を実施しました。テーマは「破壊と再生」。新たな事業や施策を矢継ぎ早に打ち出している当社ですが、一方で、時代の変化に取り残されたもの、実際に効果が見られなかったものがそのまま残ってしまっていたことから、整理をしようという発想で実施しました。


 1日がかりで仕分け作業を行ったのですが、かなり盛り上がり、事実上、運用されていないが明確に終了を宣言していなかったものも含め、最終的には32項目が捨てる対象となりました。

 この経営者ブログでも言及したことがある事業プランコンテストの「ジギョつく」、お台場に設けていた合宿施設、エンジニアの日報、惰性で募集要項にあった「大卒」資格の撤廃、オフィスの有線LAN、など多岐にわたります。

 いい「デトックス」にもなり、今でもやって良かったと思っているのですが、実際に廃止・終了するとなると、けっこう大変だということが分かってきました。現場からの「抵抗」が予想以上にあったのです。

 その一つに、「ゴミ箱」というものがあります。前時代的であり、オフィスの景観を損ねる、という理由で個人のゴミ箱を廃止し、フロアの共有ゴミ箱のみとすることにしました。ですが、「不便になった」「だったら共有ゴミ箱自体を増してほしい」など、現場から文句が噴出したのです。現場のキーマンからもそういった声が上がると、やっぱり戻そうかな、とひるんでしまいそうにもなります。

 これまで当たり前のようにあった「既得権益」を奪われることに対する抵抗は、想像を絶するものがある――。今回の捨てる会議を経て、改めて気付かされたことです。

社員の職場環境を良くしたり、福利厚生を充実させたりすることは、もちろん重要であり、そのこと自体に異議はありません。どんどんやるべきだと思います。しかし、社員のことをおもんぱかってやったことが既得権益化しないよう、注意を払って見ていくべきだとも思います。
 ゴミ箱の件も、入社した時から共有ゴミ箱のみのオフィスであれば、個人のゴミ箱がないと文句を言う人は極めて少ないでしょう。あることに慣れている、当たり前になっているからこそ、取られた時に負の感情が湧き上がるのだと思います。
 米シリコンバレーのネット企業にならい、日本でもランチなどを無料で提供する会社が増えています。ものすごく豪華な社員食堂を設けている会社もあります。しかし、そんな会社の社員が「ぜんぜん、おいしくない」と話しているのを耳にしました。最初は、有り難みを感じていたその社員も、既得権益化した結果、文句を言うようになったのです。
 これを聞いた時、サイバーエージェントでは食堂をつくるのをやめよう、と思いました。代わりに、既得権益化しないよう、いろいろと工夫して「食」のサービスを提供しています。そのひとつが、不定期でデリバリーピザを配るというもの。普段、食事を提供しない会社がたまに配ってくれるとあって、社員には喜んでもらっています。
 しかし、これが例えば毎週木曜夜に配る、となると、有り難みを感じなくなって既得権益化し、効果が薄れてしまうのは目に見えています。何より、配るのをやめる時の抵抗や文句を考えると、怖くて定例化できません。
 豪華で充実した福利厚生を売りにする風潮がありますが、個人的にはそんなことでは優秀な社員を引き止めることはできないと考えています。夜景が綺麗なオフィスに越して社員が喜んでいたとしても、2週間もすれば見飽きて、誰も外を見なくなるでしょう。
 経営者の皆さん、その施策、社員にとって既得権益化していませんか? 「始めることより、やめることの方が10倍、苦労する」という私の経験を他山の石としていただければ幸いです。

〜ここまで〜
気付いたこと
「始めることより、やめることの方が10倍、苦労する」→有り難みを忘れないよう既得権益化を生み出さない!

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