2016年9月22日木曜日

気になった記事 〜30歳代、40歳代を“排除”する効用 〜

 今年6月、「G1新世代リーダーサミット」という若手経営者などが集う軽井沢でのイベントに初めて参加しました。次世代を担うリーダー層が集う「G1サミット」という一般社団法人の若手部会で、参加資格には各領域で活躍する「U40(アンダー40)」、つまり20歳~30歳代のリーダーという条件があります。

■上の世代取っ払う

 発足した2013年当時、私はちょうど参加資格がなくなる40歳でした。自分が年寄り側に区分されたような気分で、冗談半分ですが「感じ悪いな」と言っていました。ところが今年、40歳代ながらパネリストとして呼んでいただき、その考えを改めました。G1関連のイベントには何度か参加しているのですが、これまで参加した中で、20歳~30歳代に限定したG1新世代リーダーサミットが一番、活気があったのです。

 参加している20歳~30歳代のメンバーは皆、将来のリーダー候補として生き生きとした顔をしており、日本の将来はどうなっていくのか、社会問題をどう解決させていくのか、ビジネスとどう関わっていくか、意気揚々と話していました。ここで強く感じたのは、上の世代をあえて取っ払うことは若手のやる気や自主性を引き出すためには有効だ、ということです。

 自分より経験も発言力もある上の世代がいると、若手はどうしても萎縮してしまいます。言いたいことがあっても、相手は自分よりも実績がある。言ったら否定されてしまうかもしれない。あるいは、恥ずかしい、という気持ちが勝って、言わずじまい――。という経験をしたことのある20歳~30歳代のビジネスパーソンは少なからずいるでしょう。

 しかし、それでは人は育ちません。上の世代を取っ払った時に初めて、「自分たちがやらなければ」という自主性が生まれ、思考や発言も闊達になるのではないか。そう思い至り、サイバーエージェントでも今年から「アンダー30」に参加を限定した合宿を開催することにしました。

 サイバーエージェントでは年に2度、経営陣を中心に「あした(未来)」につながる新規事業案をトーナメント方式で競い合う「あした会議」を合宿形式で開催しており、毎回、ここから様々な新規事業や社内改革案などが飛び出し、実行しています。今年8月、この若手版として、参加者を20歳代に限定した「YMCAあした会議」を初めて開催しました。

■頭ごなしに否定していた

 結果から言えば、大成功。経営陣で私だけがオブザーバーとして参加したのですが、皆、寝ずにプレゼンテーションの準備をし、30歳代、40歳代のマネージャーがいるような場所では見られないような積極性が印象的でした。

 若手だけに任せれば、彼ら彼女らは何とかするものです。2011年の秋、まだ内定者だった新人だけでスマートフォン向けマッチングアプリを作ったチームがいました。その後、サイバーエージェントの子会社して独立。別のビジネスを立ち上げたもののうまくいかず、クローズすることになりました。しかし、この子会社社長はまた別のサービスを子会社として立ち上げ、今ではそれなりの規模の収益を上げており、グループに貢献してくれています。

 実を言うと、私は最初のビジネスには懐疑的で、どうしても上から目線で頭ごなしに言いたくなり、否定していました。しかし、たとえ失敗したとしても、それを糧とすることで成長し、結果、成功につながるものです。いくら“大人”がダメだと言っても、それが本当にダメな結果になるかなんてわからない。こうした事例やYMCAあした会議の成功で、上の世代が敢えて口を出さない、参加しない、というのは、組織の成長にとって重要な要素である、ということに気付かされた思いがします。

 サイバーエージェントでは、YMCAあした会議の成功を受けて、ほかにも30歳代、40歳代を排除した、アンダー30の「マネージャー研修」や、技術者が議論し合う「技術フォーラム」などを開催していく計画です。我々、上の世代は、参加するとしても「講師役」にとどめ、運営も若い世代に任せるつもりです。皆さんの会社でも、「30」にこだわらずとも、「アンダー40」「アンダー50」に区切った試みをしてみてはいかがでしょうか。

〜ここまで〜

学ぶべきこと
・ 若手の発言に対し頭ごなしに否定しない。失敗を糧にできるかを見極めることも重要な要素。

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