2015年4月2日木曜日

本日の気になった記事〜新人へ贈る、勝負どころの「見極め」方

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85080520R30C15A3000000/

 昨年4月に経営者ブログを始めてから丸1年が経ちました。お付き合いくださり、ありがとうございます。初回の記事のタイトルは「新人へ贈る、気を付けるべき『付き合い』方」。サイバーエージェントの入社式で新人に贈った言葉を紹介しましたが、今年も、入社式で話すことをこのブログにも記したいと思います。

 今年の入社式では、「勝負どころの見極め方」についての話をしようと思っています。最初から最後まで全力疾走をして勝つマラソン選手はいません。社会人も長距離走です。常に張り詰めて仕事をし続けられる人はいません。自分なりのペース配分を考え、ここぞというところを見極めて集中し、死に物狂いで頑張る。それができれば、しばらくは「楽」になれます。

 勝負どころの重要性は、新人の皆さんも受験や就職活動で味わってきたことでしょう。例えば、中学や高校時代のほとんどを遊んで過ごしてきたとしても、大学受験時のほんの短期間に集中して努力し、有名大学に入ることができれば、その後の人生でメリットを享受できる。良いか悪いかはともかくとして、人生では勝負どころで頑張れるかどうかがその後を大きく左右することが多いのです。

 ただし、頑張る前に必要なのは「その時」を見極めることです。社会人になると勝負どころの見極めは難しくなります。期末試験やインターハイ、受験や就職活動など、学生時代であれば多くの勝負どころが、周囲と同じタイミングで訪れてきました。ですが社会に出れば、勝負どころは人それぞれ違うタイミングで訪れます。横並びで訪れるのはまれであり、8~9割はじっと耐えて待つ時間になります。耐えることができず、闇雲に勝負に出る人は、ほとんどが負けてしまう。要するに、功を焦って自滅するのです。

 ほんの少しの勝負すべき時間と、耐える長い時間の繰り返しの中で、いかに時機を見極め、正しい時に勝負強さを発揮できるか。つまり、社会人にはこれまで以上に、自分に勝負どころが訪れていると認識する能力が求められるのです。では、どう見極めればいいのか。ポイントは「環境の変化があり、かつ自分に関係があることかどうか」です。

自力では何ともならない環境の変化によって、誰にでも「明らかにここが勝負どころだろう」というタイミングが年1回や2回くらいは訪れます。例えば、政府や会社の方針が変わったり、市場にブームが到来したりしたことで、関連する自分のプロジェクトや立場にスポットライトが当たった、といった時。社長が「これからはクリエイティブが重要だ」と言い出したら、その時こそ、クリエイター職の社員にとっての勝負どころなのです。

 私自身、そうした勝負どころで集中して頑張り、飛躍をつかみましたが、それ以外の期間はおとなしくしていました。サイバーエージェントで言えば、起業した頃とその後の「ネットバブル」の頃は勝負どころでした。最近では、世の中がスマートフォンへとシフトした変化を勝負どころと捉え、社内の体制も一気に変えました。チャンスはわりと見えやすい形でやってくるのですが、意外とそこに気づいていない人は多いのではないでしょうか。

 勝負どころの見極めには、「平常心」も求められます。マイペースで判断することが大事であり、周囲に惑わされてはいけません。例えば、同期が成果を出したから、自分もここで勝負をかけよう、というのは、早く功績を上げたいという焦りであり、先に述べたように自滅につながります。焦りは「欲」からくるもの。欲が絡むと、人は間違ったり、判断を見誤ったりするものです。

 ですから、これから社会人になる新人には、ぜひ、平常心で環境の変化を見つめ、それぞれの勝負どころで力を発揮していただきたいと思います。ただし「例外」があります。入社1年目は、2年目、3年目より目立つことができる「ボーナス期間」。誰もが共通して迎える、社会人最初で最後の横並びの勝負どころと言えます。研修期間だとしても、そこで頑張って注目を浴びれば、その後の社会人生活に大きな好影響を与えることができます。

 新入社員諸君、1年目のスタートダッシュは全員が勝負どころだよ。これを、今年の新人に贈る言葉としたいと思います。

〜 ここまで 〜

8~9割はじっと耐えて待つ時間になる。勝負どころは年1回や2回くらい
ポイントは「環境の変化があり、かつ自分に関係があることかどうか」

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