2014年10月29日水曜日

役員が猛烈に働くようになる方法 〜本日の気になった記事〜

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78983340Y4A021C1000000/

〜ここから〜

経営者にとって役員の新陳代謝というのは共通する課題のひとつでしょう。抜擢したはいいが、役員という座に安住して以前より働かなくなったという声を聞きます。一方で、一度抜擢した役員を簡単に降ろすこともできません。一般的な会社では役員というのは「上がり」のポジション。役員を外れれば「降格」という負のイメージが付きまとうため、その後の処遇も悩ましい問題です。

 しかし、サイバーエージェントでは2008年に導入した役員改編制度の「CA8(シーエーエイト)」が、これらの課題を解消してくれました。8人いる取締役のうち原則2人を、2年に一度、入れ替えるというものです。これは今までで最もうまくいった人事制度の1つであると断言できます。

 当初は、若手の意欲を高め、活性化させる狙いで、強制的に後輩に席を譲る制度を設けました。当社は若い会社で、役員も若い。役員がこの先、10年20年と居座るのではないかと思われ、若手の意欲が削がれることを懸念し、当時の役員全員一致で新制度の導入を決めました。ですが蓋を開ければ、まず役員が活性化したのです。

 やはり役員というのは、過去の実績に対する功労のようなポジションで、プレッシャーにさらされにくい場所でもあります。「うちの会社では役員が一番働いていない」と思っている方も多いでしょう。我々の会社でも「安全地帯」に入り、楽をしている人が出てきていました。それが、役員改編制度の導入でものすごく引き締まった。役員が「次は誰が交代するのだろう」と計算し始め、おしりに火が付いたように、猛烈に働くようになりました。

 改編対象となる役員は、ほぼ誰にも相談せず、私が最終的に決めています。やはり、選ぶのは相当に辛い作業です。誰も外したくないですし、役員の家族の顔も浮かびます。それでも、会社としてちゃんとドライに制度を実行する姿を社員に見せなければなりません。

 そう簡単に社長をころころ代えるわけにはいきませんが、当然、私自身も改編の対象です。
 改編は私が社員総会の全社員の前で発表するのですが、その張本人が業績が悪かったり、あるいは不祥事を起こしたりしたのに留任とは道理が通りません。だから私も、それまで以上に緊張感をもって社長を務めています。

 結果、若手も、上が働いているから下も頑張らなければならないと思い、上から順番に猛烈に働くようになりました。経営陣が2つの席をちゃんと空けるという効果もさることながら、このトップ層が猛烈に働くことの波及効果が非常に良い影響をもたらし、若手の活性化という当初のもくろみも達成できたのです。

 一方、役員を外れた人は誰も会社を辞めていません。だからこそ、役員改編制度が機能していると言えます。正確に言えば1人、辞めた元役員がいますが、その人はもともと新しいことに挑戦するために辞めるタイミングで、自ら「辞めるから次の改編は自分を選んでくれ」と申し出てくれました。他は、子会社の社長に就いたり、それまで管轄していた部門の執行役員になったりして活躍しています。

 モチベーションを維持してくれている理由は、私が「返り咲きもあり」と公言していることもありますが、重要なことは、この制度がダメな役員を選ぶ制度ではない、ということでしょう。一般に言う降格ではありません。そもそも、若手の活性化のために始めた制度であり、制度が機能して以降、前述の通り働かない役員はいなくなりました。

 その中で誰に席を譲ってもらうか。1つのポイントは、外れても組織全体が将棋倒しのように崩れる恐れのないところを選ぶようにしています。もう1つは、その時々のベストチームとしてふさわしいかどうか。つまり、上から優秀な8人ではなく、会社の戦略の重要度に照らして決めているわけで、働いていないから外れる、ということではまったくありません。

 というわけで今では、いろいろな会社の経営者の方にCA8について関心を持っていただいています。まれに役員総入れ替えをする会社もありますが、CA8のように定期的かつ継続的に役員をリフレッシュさせる制度は確実な効果が期待できます。

〜ここまでから

非常に参考になる制度。

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