2012年6月4日月曜日

血中濃度測定で考えたことまとめ


TDMでなぜ予測値(グラフで表されている線)と実測値が外れるのか」という質問が多いです。

結論から先に言うと
1. 腎機能が安定していない患者
2. 高齢者、女性
3. 心不全がある患者
4.  CHDF(持続透析)患者
5. 大量に輸液を投与している患者
ではクレアチニン濃度では正確に腎機能を評価できず、血中濃度が予測どおりに推移しないことが多いです。

まず、1の理由から
TDMシミュレーションを行う大前提として、腎機能が一定であると仮定していることです。急性腎不全ではクレアチニン濃度は1-2日遅れてようやく上昇し始めます。したがって、腎機能が安定していない患者では予測は大きく外れます。
こういう患者では頻回に血中濃度を測定する必要があります。

2は一般的なクレアチニン濃度の問題点です。クレアチニンは筋肉内で産生されるためこれらの患者では腎機能を過大評価しがちです。

3 これは腎血流量が低下するため、GFRは下がります。しかし、クレアチニン濃度の上昇はないかもしくは軽度です。

4 CHDF患者では血清クレアチニン濃度は正常であることが多いですが、実際のクレアチニン・クリアランスが30程度として考えると良いと思います。

0 件のコメント: